DDIpocket AH-K3001V (2004.07.03)

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  AH-K3001V は先日買収された DDIpocket の PHS 音声端末です。端末製造は買収した側の一員でもある京セラです。 この機種は日本初のフルブラウザ(CompactHTMLではなく、フルスペックのWebブラウザ)搭載携帯型電話機として注目を集めています。 1999年に、初代iモード携帯の一機種であるP501iを初めて使ったときには、真の携帯情報端末とはこういうものか、と感じたものですが、一方でそれから5年、ケータイの進化はカメラやゲームのような付加機能に行ってしまい、「情報端末」としてはあまり進化してこなかったのではないかと思います。これに対し、AH-K3001Vは久しぶりに「情報端末」としての進化を感じた機器でした。

  少し前まで「PHS端末」といえばメールベースのコンテンツサービスしか無く、かなり遅れたイメージでした。昨年のAirHphoneの登場で初めてWebブラウザを搭載し、しかも定額制となりましたが、端末機能としてはJavaやFlashにまで対応しているドコモやau、ボーダフォンに比べれば機能的には新しさは乏しい状況でしたが、AH-K3001Vではブラウザ機能、メール機能ともにPDAレベルの極めて高機能なアプリケーションが搭載されています。

  AH-K3001V に搭載されたWebブラウザはいわゆる「フルブラウザ」であり、フレームを含むサブセットではないHTMLや、JavaScript、スタイルシートなどに対応しています。フォントもアウトラインフォントで、ページ描画サイズの拡大縮小まで可能です。ケータイモードでの描画機能など独自機能があることを考えれば、ブラウザ機能的にはWindowsCE機に搭載されているInternet Explorer4.0を上回っていると言っても過言ではありません。このブラウザを搭載することで、これまで「携帯電話用」にデザインされた限定的なWebサイトだけでなく、PCで見ることのできるサイトを閲覧することができ、入手できる情報は格段に広がりました。
 もちろん実際にフルブラウザとして(フルスクリーンモードで)使うと、実用的にはまだ問題があると感じます。フレームの切り替えや横スクロール、リンクの選択、ズームの切り替えなど、操作は面倒ではありますが、それにしてもどんなサイトでも必要に応じてPCと同じ形で表示することができるというのは想像以上に便利ですし、初めて使ってみると感動的ですらあります。携帯電話陣営もフルブラウザ搭載に前向きなようですが、現時点では部分的にでも初めて携帯電話機を越えたPHS端末となりました。

  フルブラウザでリッチなコンテンツが閲覧できることと、定額制であることによって、端末の使い方自体が変わってきます。画像読み込みをオフにするとかデータ圧縮といった、パケット代を気にした使い方は一切しなくて良くなりますので、野球中継の時も気兼ねなく頻繁に更新できますし、画像系のサイトをチェックしてダウンロードし、ストレージサービスのサイトにアップロードするというような、携帯電話のインターネットサービスでは考えられなかった使い方もできます。

  AH-K3001Vに搭載されたメールアプリケーションも、キャリアの1つのアカウントのみが管理できるといった携帯電話のレベルではありません。任意のインターネットメールアカウントに接続することができる上、マルチアカウントに対応しています。PCで使っているメールを「転送」するのではなく、直接受信して、そのアカウントから返信するであるとか、Reply-To (返信先アドレス)を設定するといったことまで可能です。 メール機能についても、ここまで高機能だとPCと同様の使い方をするようになります。フリーメールのアカウントの活用(フルスペックのブラウザを活用してアカウントの取得も可能)やメルマガなど長文のコンテンツの購読やオプトアウトも、PCではなくAH-K3001Vで十分できます。
  メールとしての難点は、着信通知機能(PメールDXのアカウントのみ通知あり)も自動受信機能も無いところです。着信のタイミングがわからないので、いきおいメールの受信→受信ボックスの確認という操作が多くなるのですが、メニューの順序が逆になっていおり、結果としてメールメニューを出して送受信してから受信メールを見る操作で何度も上下にメニューを行き来せざるを得ません。このあたりの遷移・展開などは一工夫してほしいところです。

  ネット機能以外の部分についても、予測変換や標準MIDIデータ・ADPCMによる着信音など、現代の携帯電話的な機能は入っています。もちろんPHSですから、通話品質も高いですし、地下にも強いです。一般的なスケジュール機能などが入っていないのですが、フルブラウザを活かしてWeb上のカレンダーサービスを使うことを想定しているのでしょう。

  一般的な使い方以外の使い方も、この機種は比較的ハイレベルなユーザーが多いためか、次々と活用方法が開発されているのも通常の携帯電話には無い展開です。すでにブックマークレット、QRコード対応、自作着うたなど、PCとのデータ連携機能や高度なブラウザ機能・メール機能を応用した様々な活用例が開発されています。また、正式にサポートされているWindows以外にも、Mac、Linuxで動作させるための情報やドライバが次々と公開されています。
 特にWindowsCEではドライバだけでなくアプリケーションである「京ぽんステーション」も公開されています。これはアドレス帳がvCard形式でまとめてダウンロードできる、メールが一括バックアップできるなどある意味純正のWindows用ユーティリティよりも使いやすいです。筆者はA5305KからMySync Address経由でダウンロードしたCSV形式のアドレス帳をPerlでvCard形式に変換し、京ぽんステーションでアップロードすることでアドレス帳の移行も無事できました。

  この端末の難点としては、先のメニューの構成や、操作のレスポンスの悪さなど、基本的なユーザーインターフェースの部分の完成度がもう一つというところです。変換候補が書き変わるのに時間がかかる、サブメニューが表示されるのに時間がかかる、よく使用する順にメニューが並んでいないといったところが相乗効果として、「機能はよいが、使いにくい」という印象を与えます。また、せっかく画像のダウンロードなどが容易にできるにもかかわらず、データフォルダの容量が小さいのも残念です。ストレージサービスへアップロードして消去できるとしても、使っていて肝心な時に保存ができないということが少なくありません。このあたりは、次世代機では改善してほしいところです。

  この機種は、メインの電話としても十分機能できると思いますが、とりあえずCFカード型端末感覚で、携帯電話機を別に持っていて、サブ機として導入してもよいと思います。私は携帯のほうは電話専用にして、パケットものは使い放題なこの機種だけで行うようにしています。

【2005.2.19 update】
 USBケーブルをグリーンハウスの巻き取り可能なタイプ(写真中央)に変えてみました。最近ではミニBタイプのケーブルも色々出ていますが、中でもこれは持ち運びもしやすくて便利です。

【2005.3.30 update】
 今更ですが、この電話機のアラーム機能は待ち受け画面にしていないと鳴りません。 ブラウザ画面にしたまま寝たりすると設定時間にアラームは鳴らず、あとあとブラウザを終了した後で意味も無くアラームが鳴るという、わけのわからない仕様です。これは難点。

【2005.7.30 update】
 国際ローミングしてみましたが申し込みも簡単で、海外でも無設定でフルブラウザが使えて大変便利でした。

長所:インターネット機能、軽さと薄さ、USB標準装備、自作着うた対応
短所:操作性(レスポンスの遅さ、メニュー等の設計含め)、操作画面が青固定、ブラウザのタイトルバーが太すぎる。

 

★★★★☆(2004.07.03)

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