BasiliskII/BasiliskII JIT - Macintosh Emulator (2001.02.28)

©2001 Masa. All rights Reserved.

 エミュレーションというのは、対象の動作を完全に模擬することにより、元のものの替わりをさせる技術です。似たような概念のシミュレーションの場合は、一般に人間に対する動作モデルを模擬するのですが、エミュレーションの場合はソフトウェアに対する動作を模擬することで、結果的にすべてを模擬します。たとえば Macintosh というパソコンをシミュレーションする場合には、あたかも Macintosh のような外観(人間に対するインターフェース:GUI)を再現すればよいのですが、 Macintosh をエミュレーションする場合には、ソフトウェアに対するインターフェースを再現する必要があります。GUI はソフトウェアの動作により実現するものなので、目に見える部分を知り尽くしていれば再現可能なのに対し、ソフトウェアに対するインターフェースは最終的にはハードウェアの動作により実現するものなので、動作環境となるハードウェア(CPU、周辺チップ、メモリー、外部記憶など)の動作を知り尽くしていないと、再現することはできません。しかし再現できた場合には、見かけだけでなく Macintosh のすべてのソフトウェアをそのまま動作させ、機能を再現することができるのです。

 Christian Bauer さんが開発している BasiliskII はそれを実現したソフトウェアです。Windows や Linux などで動作し、Macintosh 上のすべての機能を再現します。つまり Macintosh 用と書かれたソフトウェアは、MacOS や Photoshop などのアプリケーションまで含めて完全に動作します。私は Macintosh を長いこと使っていましたので、Macintosh のソフトウェアを愛用していました。Windows を使い始めるにあたって、これらの Mac 用のソフトウェアはすべて使えなくなりましたが、BasiliskII を動作させることで、これらのソフトウェアがすべて Windows 上で動作するのです。

 BasiliskII を使い始めるためには、まず Macintosh から ROM イメージファイルを転送する必要があります。もしソフトはあるけれどハードは手放されたという場合には、場所をとらない Macintosh LC シリーズあたりは中古で 480 円〜(!!)で購入できるので、とりあえず用意すればいいでしょう(私も買いました)。ROM イメージファイルを Windows にコピーしたら、次に BasiliskII をインストールします。アプリケーションはコピーするだけなのですが、CD-ROM のドライバと、ネットワークドライバは通常の Windows のドライバインストールの要領でインストールする必要があります。BasiliskII の設定画面では、ハードディスクイメージファイル(HFS を再現するためのファイルです。Mac 上で 200M のハードディスクを使いたかったら、200M のファイルが必要です)を作成することと、ROM イメージファイルパスの設定が必要になります。
 設定が済んだら、Run ボタンを押すだけで、あの懐かしいグレイの画面に?マークの Mac の絵が表示されます。

 そのあとはどうするかというと、あとはもう、本物の Mac に新しいハードディスクを内蔵したときと同じです。起動可能な MacOS の CD を CD-ROM ドライブにセットして MacOS を起動し、ハードディスクを初期化し、システムをインストール‥説明の必要もありませんね。
 CD-ROM だけでなく、当然マウスやキーボードも Windows のもので操作します。特に設定をしないと、Command キーは[Alt]、Option キーは[Windows]、Power キーは[Pause]になっています。嬉しいことにマウスホイールもそれっぽいイベントに置換されるらしく、それなりに動きます。右クリックはもちろん Control+クリックになります。
 Mobile PentiumIII/400 のマシンで操作していると、Finder がすばらしく軽快に動作します。Mac といえばディスクやネットワークアクセスが遅いというのは常識ですが、そこがエミュレーションによりかえって速くなっています。さすがに、演算速度はそれなりなものがありますが、動作速度の向上に効果がある JIT(Just In Time)コンパイラをリンクした BasiliskII/JIT では、Photoshop のフィルタあたりも結構速く実行できます。総じて、元の Macintosh より遥かに使いやすく感じます。
 さて、ほとんどのソフトが問題なく動くのですが、残念なことに私の愛用ソフトの1つである、Vision3D が、うまく動きませんでした(2002.5 注:とりあえずサンプルファイルではレンダリングまでできました)。描画エリアを操作しても、座標計算がおかしくなってしまうようです。

 なお、Basilisk II は技術を公開・共有しながら開発をすすめるオープンソースモデルで開発されています。Basilisk II のコア部分は Christian Bauer 氏が開発していますが、Windows への移植は Lauri Pesonen 氏が行い、JIT コンパイラの統合は、Gwenole Beauchesne 氏が行い、さらに CPU エミュレーションの元となっている Unix Amiga Emulator もまた、Bernd Shmidt 氏 を中心にオープンソースで開発されており、JIT コンパイラも元々 UAE のために Bernie Mayer 氏が開発したものなのです。
 もし、UAE がオープンソースじゃなかったら、JIT コンパイラも、BasiliskII 版も、開発されなかったか、あるいは開発期間がより長く、品質もより悪くなったことでしょう。

 ところで、Macintosh で動くソフトって、どのバージョンまであるのでしょうか。気になりますが、なかなかまとまっているページがありませんでした。そこで、今回調べた範囲で、下記にまとめておきます。間違っているかもしれませんが‥

名前 バージョン 公式配布
MacOS 8.1 販売終了
漢字Talk 7.5.5 ○(無料)
QuickTime current
ClarisWorks/AppleWorks 4.04 販売終了
EGWord/EGWord Pure 9.0/4.0 販売終了
MacWord 4.0 販売終了
WordPerfect 3.5(E) ○(無料)
Nisus Writer current ○(旧版は無料)
ATOK 11 販売終了
EGBridge 11(11.5は×) 販売終了(?)
Adobe Acrobat/Reader 3.0/3.02(E) ○(Acrobatは販売終了)
Adobe Type Manager 4.0.2 販売終了
Adobe PhotoShop 4.0.1 販売終了
Adobe Illustrator 7.0.1 販売終了
Adobe PageMaker 6.5 販売終了
SuperCard current
Stuffit Expander 5.5
Aladdin DropStuff 5.5
Aladdin ShrinkWrap 3.0 配布停止
Netscape Navigator 4.03/4.08(E)
Internet Explorer 4.01 配布停止
Macromedia Flash Plugin 3.0
Microsoft Office 4.2 販売終了
MRJ Macintosh Runtime for Java 2.0(JDK1.1.3)
Sun Java Development Kit 1.0.2
Symantec Think Pascal 4.5d(E) ○(無料)
GraphicConverter current
Dragthing current
Jedit 3.0

※current は、サポートが継続しているもの

【2001.3.29 update】Windows の日本語キーボードから使う場合、そのままではJISキーボードに設定してもキー上の記号通りに文字が出ません。この場合 Apple Japan のサイトから JIS キーボードインストーラをダウンロードして、導入する必要があります。これを行って、かつ BasiliskII の設定でJISキーボードにしておけば、問題なく利用できます。

【2001.8.19 update】Win32-JIT バージョン 3 がリリースされています。あと、マキエンタープライズさんの Think Pascal のススメのページへのリンクを追加しました。

【2003.7.6 update】今更ですが、PC側のAirH"カード(CFE-02)を使ってPPP接続してみました。方法は、まずBasiliskII GUIのPorts設定でCFE-02のCOMポート(私の場合はCOM4)をモデムポートに割り振るよう設定します。次にCFE-02のMac用CCLファイル(NECインフロンティアのサイトにもあります)を導入し、モデムコントロールパネルで経由先をモデムポート、モデムをCFE-02に設定するだけです(下図参照)。32kbps、遅いですが、Basiliskのレンダリングも速くはないので、まったりノスタルジックにブラウズしてます(WebブラウザはiCab+Flash3 pluginを使用)。

 


ところで、68k時代のワープロソフト『マックライトII』(私は昔これで数百ページのドキュメントを作っていました)では「インライン変換ファイル」がない限りインライン変換ができません。当然、ATOK11用のインライン変換ファイルなど存在しない=インライン変換は不可能な訳ですが、google 検索してみたところ、藤沢純一さんという方がインライン変換ファイルを作るTIPSを公開されていました(下記リンク参照)。早速、ATOK11用のインライン変換ファイルを作成してみたところ、見事にインライン変換できました。

その後BasiliskII-JITのソースコード自体は、動的な解像度切り替えなどをサポートしたバージョン1.0になっていますが、Windows版は開発が止まったままになっているのが残念です。どなたか開発を引き継いでいただけるといいですね。


【2003.11.20 update】BasiliskII-JITを開発したGwenole Beauchesne氏はその後初のPowerMacエミュレータSheepShaver for x86を開発中のようです。こちらもUNIX版のみなのがちょっと残念です。

【2005.1.25 update】BasiliskIIの最新版及び、SheepShaver for x86はmingwとSDLを使ったWindows版のビルドが可能になったようですが、まだ動作は不安定なようです。

【2005.4.6 update】BasiliskII-JIT・SheepShaver for x86 の最新版のWindows版が配布されています。それぞれ SDL ライブラリを使用しているため、これまでのDirectX 版に比べると速度が落ちているとのこと。

長所:ネットワークのサポート、実行速度、再現性
短所:AV の ROM に対応していないこと、JIT 版ではスクロールバーがおかしいこと、My Computer で日本語で始まるファイル名が読めないこと(短所というには些細ですが‥)

 

★★★★☆(2001.02.28)

アクセスランキング
1.
NSDV720P
2.
ワンダースワン
3.
丁果A320
4.
mishark64
5.
GNU-win32(3)
6.
USB 2.5' HDD ケース
7.
8.
GW LT2104u
9.
BIBLO MC/30
10.
ムーバ So506iC