自分の中ではアメリカの良心だと思っている Simpsons が映画になりました。
なんかサザエさんで2時間の映画を作るような感じで大丈夫かなぁという不安があり、実際ちょっとそんな面もありましたが、ファンにとってはお祭りということでそこそこ楽しめました。
今回は映画らしいクライマックスへ向かう起承転結が横軸、環境問題を保護する側・無関心な側の両面から例によって痛烈に皮肉る、というテーマが縦軸、という感じの2軸で構成されていて、ちょうど両軸が「自己中心主義からの脱却」という点でクロスしています。
まず横軸についてですが、TV の Simpsons でも、ストーリー感のあるちょっといい話は一杯あるのですが、今回映画で、2時間でのストーリーというのがちょっとだけ「らしくない」「キャラクターが演技させられてる」ように感じました。
もちろん、映画版を作るときは、なにを持って映画版とするか、という本質的な議論の中で、TV版的な展開をそのままだらだら2時間やるだけでは不十分であり、折角映画を作れる機会が得られたのだから、映画らしい展開やクライマックスがあるべき、というような話が当然あったのだろうと思います。
実際、それは正論なのですが、具体的には「to be continued」の前後から、クライマックスに持って行くためだけに、ホーマーもマージも、らしくない動きをしているなぁ…と感じ、その違和感が最後まで続きました。
あと、裏番組的にバートのファザコン的なストーリーも流しているのですが、これも深刻っぽく書きすぎに思いました。
縦軸の環境問題については、保護側の偽善ぶり、無関心側の無責任ぶりがいい感じで楽しめました。
特に「環境保護」という錦の御旗を振りかざせばなんでも「正論」となり、気がつけば「地球にやさしくない人間は死んでもいい」というレベルまで飛躍していくという、極めてよくある(最近だと捕鯨問題とかもそうですね)短絡的な思考回路をわかりやすく皮肉っています。
無関心側については「アーティストの環境についてのメッセージなんてファンはまじめに聞いていないどころか、嫌っている」「自分に直接影響が出ない限りは環境の話など聞く気もない」「苦労して環境保護派を多数にできても、1人が無視して台無しにする」といった形で、当事者感の無さ、環境活動の無力さを表現しています。
Simpsons のいいところはこうして両面を提示した上で視聴者に考えさせるところで、こっちの軸は期待通りでした。
大きな軸以外の細かいネタはとにかく楽しいのですが、演出ネタ、台詞ネタはまだしも、書きネタは一度では気づかなそうです(クドカンのドラマとかもそうですが…)。DVD 向きかもしれませんね。
DVDといえば、DVD版は大平透さんとかの、オリジナルキャストの吹き替えトラックも選べるようにしてほしいですね。別にニューキャストはニューキャストだし、新しいファンを増やさないといけないのもわかりますので否定はしませんが、TVとかでずーっと慣れているファンもいるので…ファン向けアイテムの要素が強いDVDでは2トラックあると嬉しいです。
Posted at 2008.02.11 21:04 in 映画